義母の想い出のメニュー
今日、予想外に、仕事が長引いて、帰宅が遅れたので、
晩ご飯のメニューを急遽変更し、調理のカンタンなグラタンに
することにした。家に待っていた妻と末っ子にすぐに作ると告げ
調理を開始する。冷蔵庫を開けると、ワインのおつまみにして
食べようと買っておいたスモークチーズが眼についた。
今でも時折思い出すことがある義母(妻の母)の想い出…。
実はその昔、二十数年前の事、妻の実家で働いていた頃、
義母(当時は店主の奥様)にごちそうになったグラタンに、
ウインナーと間違えて(本人談)入っていたスモークチーズが
何とも絶妙な具合に溶けていて、実に美味かったのである。
義母は、お料理に関してはいろんなことを試していたので、
TVなんかで観たものをよく作ってご馳走してくれた。
あと、さいの目切りしたトマトを入れたオムレツとかは
かなり気に入ったので、義母のトマトのオムレツは、
その後も度々自分で作って、自分好みに改良を加える。
にんにく、オリーブオイル+生バジルに黒コショウ
とクレイジーソルトでイタリアンな味付けにして、
ワインのお供にしたりもしていた。
それにしても義母はよく独身時代の私にいろいろと
ご馳走してくれて、可愛がってもらっていたので、
「食べ物さえ与えておけば、黙らせられる単純な男。」と
思われていたフシがある(笑)。
義父のもとで働いていた私は、あんまり出来の良い
従業員ではなく、よく業務でミスをしては義父にしょっちゅう
怒られていたもので、意気消沈して帰宅しようとする私に
「これ帰って食べなさい。」と、ご馳走を持たせて貰っていた。
そんなワケで、義父に怒られて腐りまくり「辞めてやる!」
などと思っていても義母が見事なフォローで収めてくれた。
私と妻との結婚するきっかけを作ったのも義母。
情報収集し、周囲の知人たちを巻き込み、
外堀から固めていって、妻との結婚を勧められたりして
その根回しを知らないのは、私だけと言う有様(笑)。
だが、残念なことに今から9年ほど前、古希を迎えて間もなく
病気で入退院を繰り返したのち、病院のベッドの上で
家族の見守る中、静かに旅立っていった。
現在も妻に、トマトオムレツやスモークチーズグラタンを
時折「君のお母さんの遺したメニューのひとつばい。」といい
振舞っていたが、彼女は私と義母のこの経緯を知ってはいるものの
実際食べたことはあまりなかったらしい…。「美味しい。」と言って
食べる妻。義母は去りその身体は土に還った。しかし
義母の遺したこの二つのささやかなご馳走は、今もなお
私たちにひと時の幸福(口福)を与え続けてくれている。
「お義母さん、ありがとう…。」
関連記事:義母の十回忌に想うこと
http://kiichan2-tabiji.blog.so-net.ne.jp/2016-06-22
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