妻の回想。「子育ては楽しかった…。」
妻が昨日から、抗がん剤治療を再開した。数か月前、
治療のたびに本人の具合が必ずと言っていいほど悪くなるので、
私としてはそちらの方が悪影響かなと思ったので打たなくていい!?
と言って止めていた。それから、しばらくして原因の分からない
身体の痛みを訴えるようになった。当初は痛み止めのお薬を
処方してもらってたのだけど、何回お薬を変更しても
痛みが改善しない。本人の苦痛に苦しむ姿を見ていても、
私が何か痛みを和らげるコトをしてあげられるワケではない…。
痛みが酷くなってくると、本人がいちばん辛いのだけど、
私や子ども達に毒のある言葉を浴びせたり、
無茶な要求をしたりする。そんなワケで私は先日もエライな目に
遭ったのである(冷汗)。
※関連記事:病人がいる家庭の修羅場
http://blog.so-net.ne.jp/kiichan2-tabiji/2016-05-05/
ホントに病気に苦しむ当人の気持ちや痛みなんて、
絶対他の人間には分からないものだし、言葉だけの励ましなど
言おうものなら火に油を注ぐようなものである。先日麻酔科で
MRIを撮って結果を診てもらったが、痛みの原因はココだという
結論が出た。癌の転移巣が脊椎のそばにあり、神経を押している
というのが、痛みの原因なんだとか…。ココに放射線を
当てる治療をすることになった。抗がん剤の終了後に行う
予定にして、帰宅する。帰りのクルマの中、診断の結果について
私は妻からエライ責められるコトとなる。
「アンタが抗がん剤止めさせたけん、悪化したやんね!!」
…そうはいっても私的には(抗がん剤を)打てば必ず具合が酷く
悪くなるので、良かれと思って「しばらく休んだら?」と言ったのである。
「アンタのせいで酷うなったやん」とか
「早よ死ねばよかと思っとるやろ。」などと矢継ぎ早に
非難の言葉を浴びた。私はと言えば「ごめん…。」「すまなかった…。」
というコトしか出来ない。この日私は完全に「人間のクズ」の
扱いであった。そして抗がん剤を再開して帰って来た日、
私は仕事で時間が彼女を送迎する時間が取れず、義父に代わりに
送ってもらう。今日一緒に病院に行けなかったコトを、帰ったらまた
手酷く責められ、ゴミクズか何かみたいに罵倒されるのかと思うと
気が滅入る…。帰宅して、玄関の前で息を整える。これから
飛んでくるトゲのある言葉に身構えなくてはと。意を決して、
「ただいま~。」と部屋に入る。が、予想に反して妻の態度が
軟化していて拍子抜けした(笑)。寝る前に私のとこに来て、
妻が話し出した。ハナシとは病院のコトではなく、
部屋に置かれていた長男と次男の保育園時代の記録帳を読み返し、
忘れかけてた当時のいろんな出来事を思い出したのだそうで、
冷蔵庫のタマゴを床に落っことして驚いたコトや、
私がスパークリングワインのお供に、お皿一杯に並べてたイチゴを、
私が目を離していたわずかなスキに全部食べてたり(おいおい!)、
ギャハハと笑えるようなコトも思い出していたそうで、
久しぶりに二人して笑い転げたね。妻が穏やかに、そして
微笑みをうかべて言った。「子育ては、楽しかったぁ…。」
って、過去形でいうんじゃない!
※関連記事
妻の回想~その2~「あの頃に帰りたい…。」
http://kiichan2-tabiji.blog.so-net.ne.jp/2016-05-19
妻の回想~その3~「あの頃に帰りたい…。」
http://kiichan2-tabiji.blog.so-net.ne.jp/2016-05-20
妻の回想~その4~「あの頃に戻りたい…。」
http://kiichan2-tabiji.blog.so-net.ne.jp/2016-05-22