なぜ「失敗作」なのか?R33・GT-R その4
前回の続き…。
マニュアルトランスミッションの多段化が流行ったこの当時。
フェラーリ360モデナや三菱GTO、トヨタのスープラ、アルテッツァなど、
ドライバビリティと燃費の向上を目指していろんなメーカーが
こぞって6MTを採用していた 。まぁ今となっては、MTの性能を凌駕する
賢いATがたくさんあるので、MTはかなり分が悪い…。どころか歯が立たない?(笑)。
最近の車ではトヨタの86なんかも6速があるけど、
はたしてMTを今どき買う奇特な人(失礼!)がいるのかね?
AT+パドルシフトでハンドルから手を放すコトなく
ブリッピングダウンシフト機能によりシフトチェンジが行え、
ドライバーはコーナー脱出の立ち上がりのイメージを
アタマに描きつつ、ハンドル操作に集中ができる。
ハナシが脱線したので元に戻そう…。「マイナス21秒のロマン」、
R33GT-Rの開発を経て技術的にも様々なデータを獲得した日産は、
R34にその技術を全力投入しボディ剛性も大幅に向上させる。
R34スカイラインはこれを「ドライビングボディ」とネーミングした。
う~ん。なかなかカッコイイぞ。
GT-Rはそれをさらに強化したので、戦車みたいといえば
ちょいと言い過ぎだろうか?ただ、言っては何だが
スカイラインも大多数の日産車と同じく、
スタイリングには難があるよね。個人的には
「これほど性能的に磨き上げられたクルマなのに、
自分が買って所有したい。」とは思えないのだ。
たしかにスタイリングには難があるが、
R34のドライバビリティはそれを補って余りある魅力があるとは思う。
でもあたくしが乗るクルマじゃないな…。と思ってしまう。
私が当時所有していたスープラに比べ、複雑なメカニズムを満載したGT-Rは
メンテナンス費用も高い。エンジンオイルの量はハードに走る人なら、
高価な100%化学合成10W-60などの高性能オイルを入れ、
こまめにチェックしないと「こないだ充分にあったから大丈夫。」
な~んて油断してたら大変!こいつはトンでもないモンスターだからね。
4WDシステムはフ前後にディファレンシャルがあるので、
デフオイルの交換も手間暇がかかる。お金に余裕のある、
セレブな走り屋の方でなければ、維持するのは容易ではない。
高速道路で直線しか走らないあたくしにはその点で、
スープラがピッタリだった、というワケである。
こちらは6速MTのミッションオイルには専用品
(V-160。ミッション形式番号と同一名称)を
入れなくてはならないくらいであんまり気を遣うコトもない。
私は、楽ちんで速いクルマが好きなのである(笑)。
関連記事:
なぜ「失敗作」なのか?R33・GT-R
http://kiichan2-tabiji.blog.so-net.ne.jp/2016-05-03
なぜ「失敗作」なのか?R33・GT-R その2
http://kiichan2-tabiji.blog.so-net.ne.jp/2016-05-03-1
なぜ「失敗作」なのか?R33・GT-R その3
http://kiichan2-tabiji.blog.so-net.ne.jp/2016-05-03-2
なぜ「失敗作」なのか?R33・GT-R おまけ
http://kiichan2-tabiji.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04
なぜ「失敗作」なのか?R33・GT-R その3
前回の続き…。
R33は、ホントに失敗作なのか?いやいやけっしてそんなコトはないね。
失敗だったのは、クルマというハードそのものではなく、当時のユーザー
のニーズを読めずにユーザーから不評を買った、日産のマーケティング上
のミスであって、クルマ自体に罪があるワケではない。そして、GT-Rの
進化の過程においては、R33というこの車の存在失なくしては語れない
のだ。このクルマがあったからこそ、次期モデルの、最高傑作と呼ばれる
R34GT-R誕生の礎となったワケである。
だからといって、かつてR32がいたポジションに穴が開いたワケではなく
新たに三菱から「ランサーエボリューション」シリーズ。
スバルからは「インプレッサSTIバージョン」シリーズが2Lターボ、
4WDのライバルとして、熾烈な開発競争を繰り広げている。
R32の持っていたコンパクトさを敢て捨て、大型化し絶対的スピードを
追及する路線にシフトする過渡期にあった、っていうことだね。そして、
「スカイラインGT-R」として最後の型となるR34の登場となる。
※画像http://jidoshafan.com/skyline-gtr-r34.htmlより引用
R33で不評を買ったボディサイズは全長で75mm、ホイールベースは
55mmのサイズダウンをしている。R33の柔和なフロントマスクに対し
R34は直線基調のデザインでヘッドランプはツリ目タイプで怖いカオを
している。暗い夜道では出会いたくないカオである(笑)…。
タイヤサイズ245/40ZR18、9JのBBS製アルミホイールから
不気味な光を覗かせる、ゴールドに塗装されたイタリア、
ブレンボ製ブレーキキャリパーは否が応でも
このモデルで最後となるRB26DETTはカタログ上の最大出力は
280psのままだけど、このモデルで最大トルクは遂に40㎏f/mの
大台に乗せてきた。それともう一つの目玉に、
ドイツ、ゲドラグ社製6速マニュアルトランスミッションが初搭載されて
いる。エンジンのトルクアップと、クロスレシオの6速マニュアルの組み
合わせによりR34GT-Rは卓越したドライバビリティを獲得するに至った。
ATの運転しか経験したコトのない方には、ピンと来ないかも知れないけど
まぁとにかくシフトチェンジが楽しくなる。私も6速マニュアル経験者なん
だけど、GT-Rではなく、JZA80スープラRZのゲドラグ製6速に4年程
愛車として乗ってたコトがある。
※画像http://blogs.yahoo.co.jp/yngjza80/5364033.htmlより引用
給油に立ち寄った、ガソリンスタンドでスタッフの兄ちゃんから、
「コレどうやってバックに入れるんですか?」なんて訊かれて
ちょっぴり優越感に浸ったのもささやかな思い出だ(笑)。
(バックに入れるにはシフトレバーのグリップの下のプラスチックの
リングを引っ張りながら入れるのである)但しR34とは違い、
高回転を多用して楽しむR34のRB26DETTに対し、
全域トルクの塊である(最大トルク44㎏f/m!)、3Lシーケンシャル
ツインターボの2JZ-GTEは、街中での走行は、1~3~5速の1コ飛ばしで
走れるので楽チンだ(笑)。こまめなシフトチェンジが必要となる場面
では6つのギヤをフルに使って走ればよい。
つまり、シチュエーションによって使い分けができるってコト。
次回に続く…。
関連記事:なぜ「失敗作」なのか?R33・GT-R
http://kiichan2-tabiji.blog.so-net.ne.jp/2016-05-03
なぜ「失敗作」なのか?R33・GT-R その2
http://kiichan2-tabiji.blog.so-net.ne.jp/2016-05-03-1
なぜ「失敗作」なのか?R33・GT-R その4
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なぜ「失敗作」なのか?R33・GT-R おまけ
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なぜ「失敗作」なのか?R33・GT-R その2
前回の続き。
ボディサイズの拡大により車両重量も増加したR33GT-R。
R32の+100㎏である。R32時代よりハイパワーと引き換えの、
鋳鉄製シリンダーブロックの採用と、「アテーサE-TS・PRO」と
呼ばれる4WDシステムは、とにかく重いのだ!その重さたるや
「実はコイツ、シーマなんじゃないか(笑)?」
というくらいである。走りの性能を追求するスポーツカーにとって、
重量の増加は歓迎すべきコトではない。
こりゃイカサマだろ!広報車のスペシャルチューン
ヘビーなクルママニアの間で語られている、
「土屋圭市氏の広報車チューン、ブチ切れ事件」。
レーシングドライバーの土屋圭市氏が、1995年のコト、
カー・ビデオマガジンで筑波アタックを行った際、土屋氏の
持ち込んだ、自身のR33V-specと日産の広報車R33と対戦したのだが、
結果はなんと、土屋氏が惨敗!
そんな阿呆な!?
と思いきや、後にその広報車に市販モデルよりも車高が下げられ、
ターボのブースト圧アップやキャンバー角の変更など、いわゆる
「スペシャルチューン」が
施されていたコトが発覚する。土屋氏のブチ切れ度合いも
凄まじかったコトながら、当然この事件でR33は評判を著しく
失墜させた。こんなイカサマなことをする日産…。
冒頭の「マイナス21秒のロマン」にも疑念の目を向けられる
コトとなった。日産に限らず、過去にも三菱自動車が、
GTOでジャーナリスト試乗用に持ち込まれた車両がこれまた
マフラーから火を噴くぐらい、ターボのブースト圧を上げていた
コトがあり、試乗したジャーナリストはそのスゴい様子を記事に
しんだけど、実際の市販モデルはやっぱりそんなコトはなくって、
これもイカサマだったというワケ。
「R33なんざブタのエサ」
コレは「頭文字D」という、峠の走り屋の世界を描いた人気漫画の中
での登場人物の発言。人気漫画ゆえの社会的影響力もあって、
この酷い物言いのおかげで「R33は失敗作」
というイメージが広まってしまったカンジなのである。
「風評被害」だなコレ。
私個人的には、と言うか、前にも述べたように、
R33が先代R32にクルマとしての出来が劣っている…。
というワケではない。ボディサイズの拡大によって、当時
はやっていた、峠の入り組んだコーナーを攻めるには不向きなクルマ
となっただけである。この辺は、日産の考えるGT-Rのあり方と
ユーザーの求めるGT-R像が不一致だった…。
というのが、このR33・GT-Rの最大の悲劇だったといえるよね。
何やら可哀そうな身の上(笑)のR33を擁護するとしたら、このクルマ、
進化のシフトをする過渡期にあった…。と考えたらどうかな?
次回に続く…。
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なぜ「失敗作」なのか?R33・GT-R
ドイツ西部に広がる深い森の中、ラテン語で「黒い城」を意味する古城、
”ニュルブルク城”。この城を囲むように走る、全長20.832㎞のサーキットが
「ニュルブルクリンク北コース」である。
山間の地形を活かしたアップダウンに170以上にもおよぶコーナーと、
雨や霧などの天候要素も加わり、
世界で最も難易度の高いサーキットといわれている。
ココは「スポーツカー開発の聖地」と呼ばれ、ココで計測されるラップタイムは、
ニューモデルの性能を示す指標とされている。幾多のスポーツカーが、
過酷な各種走行テストを行った後、旅立ってゆく…。
今から20年ほど前のコト。この北コースで7分59秒で駆け抜けたクルマ、
「マイナス21秒のロマン」というエモーショナルなキャッチフレーズで登場したR-33・GT-R。
で何が、「マイナス21秒」なのかだけど、このクルマ、「伝説」と呼ばれ先代以来16年ぶりに
復活した、R32GT-Rの同コースでのタイムを21秒も短縮した。というのが
先述のキャッチフレーズのルーツとなっている。
画像https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E...より引用
だけど、なぜこのクルマが「失敗作」なのか?という議論の前に申し上げて置きたい。
当たり前のハナシだけど、「マイナス21秒」を成し遂げたクルマのスペックが、
先代R32に劣っているワケがない。ココで簡単に、R33・GT-Rのスペックをおさらいしておこう。
先代R32に引き続き2.6LツインターボのRB26DETTを搭載しているが、
ECU(エンジンをコントロールするコンピュータ)の16ビット化と、
若干の過給圧のアップにより最大トルクが1.5kgf-m増加している。
排気バルブシステム内部にソジウムを封入し熱伝導と冷却効率を向上させるなんて、
あまり知られていないレアな(笑)チューニングもされている。
で、肝心の「失敗作」の件だけども、
R32との最大の違いはボディサイズの拡大である。
R32より全長で130mm、全幅で25mm、ホイールベースで105mmの拡大。
要するにサイズが一回りデカくなって、コレが今にしてみれば
取り回しのしやすいサイズのR32から乗り換えたユーザーが、
強烈な違和感を覚えたってコト。ハッキリ言ってR33の開発陣が、
ボディサイズの拡大を望んでいたとは考えにくい…。
R32の性能を更に磨き上げていくためには必要な要素ではないからである。
おそらく同時期に、好調な販売を続けているトヨタのマークⅡを横目で見ていた
営業サイドの横槍であろうが、R32のリアシートが狭いとかケチをつけた。
マークⅡはR33とは進道が違うから、ライバル車ではない。
それをいうなら日産にはローレルとセフィーロがあるでしょ~が!
次回に続く。
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