「卒婚」という生き方
定年退職や、子どもの独立を迎えた夫婦が、
婚姻関係を保ったままそれぞれの生活を営む
「卒婚」が今、注目を浴びている。卒婚とは、
結婚と卒業を組み合わせた造語で、
夫婦の新しいライフスタイルとして、2004年に出版された
杉山由美子さんが著書『卒婚のススメ』(オレンジページ)で
提唱された。杉山さんによると、
「『卒婚』という言葉は、長い結婚生活のなかで相手を嫌になり、
避ける意味でつかわれることが多いですが、もともとはもっと
プラスの意味のもの。子育て期が終わったシニア層などが、
人生の後半戦を考え、結婚生活を続けながらも
自分のやりたいことをしようという考え方なのです。
必ずしも結婚=同居にこだわることなく、夫婦のきずなを
保ちながらも別々に暮らすこともあります」とおっしゃる。
夫と妻がまったく別の土地に拠点を持ち、行き来するなど、
現在の交通機関を利用すれば難しい事ではない。
結婚当初は、確かにお互いが好きで結婚に至ったものだが、
考え方や生活習慣の違う2人が一つ屋根の下で暮らすワケ
だから、嬉しいとか楽しいことばかりではなく、
面倒なことも多々あるものである。ご多聞にもれず
我が家でも、恥ずかしながら大喧嘩の末にぶちキレて妻に、
「緑紙にハンコ押し持ってこい!!」なんてことを言ったのは
一度や二度ではない。だが、熟年離婚などという
深刻な問題ではなく、お互いの意思を尊重し合い、離れて
暮らすということで、結婚という社会的信用を保ったまま
自分らしい生活が送れることや離れて暮らすによって
お互いの良さを再発見できる点などがある。
そういう点からすると、卒婚が離婚回避の手立てになっている
側面もあるといえるよね。
今、卒婚にあこがれる女性は少なくないという。
一方、夫の方から言い出す卒婚は、「犬と山暮らし」とか、
「田舎で農業」といった「夢追求型」が目立つが、
これがまた、妻側に我慢を強いられるケースも多いという。
かくいう私も「夢追求型」で。リタイア後は、
岡山の山間の田舎に古民家を買って改修し、
※画像http://matsui-ikuo.jp/works/minamibousouより引用
たまに美作三湯(湯原、奥津、湯郷温泉)に湯浴みに出掛け、
春には真庭市の「落合の醍醐桜」で花見をし、
※画像http://find-travel.jp/article/2392より引用
四季折々の季節の移ろいを感じながら、
部屋にはアトリエやワインセラーなんかを造って、
※画像http://www.tjc1953.com/wine.htmlより引用
ワインを愉しみ、絵でも描いて暮らしたいと思っている(笑)。
逆に妻は都会が好きで、広島なんかの大都市に
あこがれる人である。都会暮らしの方が何かと便利だからね。
「卒婚」というライフスタイルが、正しいか正しくないの議論はともかく、
お互いの意思を尊重しあったうえでの、
人生の放課後を愉しむ夫婦の新しいありかたとしては、
なかなかにステキだと思うけどね。